採用ブランディングを調べると、「成功事例10選」のような記事が並びます。他社の取り組みを俯瞰するには便利ですが、読み終えたあとに残るのは「うちは何から手をつければいいのか」という問いではないでしょうか。
この記事は、事例をたくさん並べません。1社の話を、最後まで書きます。
私たちが支援している横浜市の訪問看護ステーション「株式会社はまリハ」が、人材紹介会社への年間1,000万円超の支払いから抜け出し、年間20人の有資格者を直接採用するまでに何を変えたのか。着手前の状態、実際にやったこと、途中で失敗したこと、そして数字がどう動いたか。
うまくいった話だけでは再現できません。いちばん時間を要した工程や、順番を間違えると起きることも含めて書きます。
中小企業の採用ブランディングとは
採用ブランディングとは、自社が「どんな会社として認識されるか」を意図的に設計し、一貫して示していく取り組みです。
ロゴを作ることでも、キャッチコピーを考えることでも、採用サイトを見栄えよくすることでもありません。それらは結果として使う道具であって、中身ではありません。
「ブランド」を知名度と取り違えない
採用ブランディングという言葉を聞くと、多くの経営者は「うちのような無名の会社には関係ない」と受け取ります。ブランド=知名度、という理解があるからです。
しかし採用の文脈でのブランドは、有名かどうかではありません。この会社が何を大事にし、どんな仕事をしていて、誰と働きたいと考えているのかが、外から見て明確であるかどうかです。
無名でも、そこが明確な会社は選ばれます。逆に名前が知られていても、中身が伝わらなければ比較検討の段階で外れます。
採用ブランディングと採用マーケティングの違い
この2つは混同されがちですが、力点が違います。
採用マーケティングは、認知から応募までの流れを設計する取り組みです。どこで知ってもらい、何を見せ、どう応募まで運ぶか。導線の話です。
採用ブランディングは、その流れの中で何者として認識されるかを決める取り組みです。中身の話です。
流れがあっても中身が空なら、通り過ぎられます。中身があっても流れがなければ、そもそも届きません。両方が要りますが、順番でいえばブランディングが先です。誰に何を伝えるかが決まらないうちに導線だけ引いても、運ぶものがありません。
なぜ中小企業こそ採用ブランディングなのか
大企業向けの施策だと思われがちですが、私たちの見方は逆です。中小企業のほうが向いています。
条件で戦うと、必ず負ける
採用市場で最初に比較されるのは条件です。給与、休日、勤務時間、福利厚生。
ここで勝負すると、原資を積める会社が勝ちます。しかも上乗せ合戦に終わりはありません。相手が条件を良くすれば、こちらも良くするしかない。体力勝負に持ち込まれた時点で、中小企業に勝ち目はありません。
さらに厄介なのは、その先です。条件で集めた人は、条件で離れます。 より良い条件を出す会社が現れた瞬間に移っていく。これは相手の不誠実さではなく、構造上そうなるというだけの話です。
採用ブランディングは、この土俵から降りるための作業です。条件以外の理由で選ばれる状態を作る。そうすれば、条件で引き抜かれる確率も下がります。
経営者の顔が見えることが、そのまま強みになる
中小企業には、大企業が持てない資産があります。意思決定者の考えが、そのまま会社の考えであるという状態です。
大企業では、理念は合議で作られ、角が取れ、誰にも刺さらない言葉になりがちです。中小企業は、経営者が何を考えているかを、そのまま出せます。
これは採用ブランディングにおいて決定的な優位です。求職者が知りたいのは、整えられた美しい理念ではなく、この会社を動かしている人が何を大事にしているのかだからです。
まだ誰も本気でやっていない
もうひとつ、実務的な理由があります。採用ブランディングを本格的に手がけている中小企業は、まだ多くありません。
つまり、丁寧にやるだけで差がつきます。特別な予算も、高度な技術も要りません。自社の考えを言葉にして、一貫して示す。それだけで、比較検討の段階で頭ひとつ抜けます。
【実例】株式会社はまリハで起きたこと
ここからが本題です。1社の話を、着手前から順に書きます。
着手前:紹介料に年1,000万円以上
はまリハは、横浜市で訪問看護ステーションを運営しています。
看護師は慢性的に足りていません。自社で募集をかけても応募が集まらず、人材紹介会社に頼るほかない状態が続いていました。紹介料は1人あたり100万円を超え、年間の支払いは1,000万円以上に達していました。
代表は「紹介会社を使うしかない」と考えつつ、同時に「この状態を続けてはいけない」という危機感を持ち続けていました。やめたいのにやめられない。多くの中小企業が置かれている状況です。
最初にやったこと:言葉にする作業
私たちが最初に着手したのは、サイト制作ではありません。経営者に問いへ答えてもらうことでした。
なぜこの事業をやっているのか。現場の判断をどこまで任せるのか。件数と一件あたりの質がぶつかったとき、どちらを取ってきたのか。
これらは採用の質問ではなく、経営の質問です。答えが出るまで、採用サイトは作れません。具体的な問いの一覧は、後半の「立ち上げの手順」にまとめました。
採用ブランディングが難しいと言われるのは、この工程があるからです。 デザインや文章の問題ではなく、経営者が自分の考えを言語化しなければ先に進めません。
次にやったこと:判断できる情報に変える
言葉が定まったら、それを求職者が判断できる形に落とします。理念や方針を、日々の仕事の描写に変換していく作業です。何時にどう動き、誰と関わり、何を評価されるのか。
抽象的な理念を掲げるだけでは、求職者は自分に当てはめられません。思想は、具体を伴って初めて伝わります。
いちばん最初に直したのは、募集要項
作業の順番として、最初に手を入れたのは募集要項でした。新しいページを作る前に、既にあるページの中身を入れ替えたということです。
理由は、このページだけが「読まれる前提」で開かれるからです。トップページや理念のページは読み飛ばされることがありますが、募集要項は目的を持って開かれます。会社側から見れば、相手が最も集中している数分を確保できる場所ということです。
着手前の募集要項は、求人媒体に載せている条件表をそのまま転載したものでした。給与、勤務時間、休日、福利厚生。これは他社の募集要項と並べても区別がつきません。
書き換えたあとは、条件に加えて次のような内容が入っています。
- 1日をどう組み立てるか(訪問の時間帯、移動、記録の時間)
- オンコールが月に何回あり、実際に呼ばれるのは何件か
- 入職後3か月で何を身につけてもらうか
- 何を評価し、何をもって昇給とするか
- どんな人が力を発揮でき、どんな人だと苦しくなるのか
条件表を、判断材料に変えた。やったことを一言で言えばこれだけです。ただ、ここを書くには「自社は何を大事にしているのか」が定まっている必要があります。だから工程1の言語化が先に来ます。
時間がかかったのは、制作ではなく言語化
正直に書くと、いちばん時間を要したのはサイトの制作工程ではありません。経営者の考えを言葉にする工程です。
一度書いて終わることはなく、書いては読み返し、違和感のある表現を直す作業を繰り返しました。ここを短縮しようとすると、どこかで見たような一般的な文章になり、差がつかなくなります。
採用ブランディングを検討している会社には、この工程に時間がかかることを、あらかじめ見込んでおいてくださいとお伝えしています。
結果:年20人の直接採用と、約900万円の削減
紹介会社を通さない採用が、年20人に達しました。内訳は看護師が12人、理学療法士などのセラピストが8人です。
これにより、紹介会社への支払いのうち8割以上が不要になりました。削減額は約900万円です。そしてこの状態は初年度限りではなく、翌年も維持されています。
削減額よりも大きい数字
900万円という数字はわかりやすいのですが、実はもっと大きな変化が起きています。
同じ20人を紹介会社に頼っていた場合、紹介料は2,000万円を超えていた計算になります。
現実的に、その支出は承認されなかったはずです。つまりこの20人のうち相当数は、紹介会社に頼る前提のままなら、採用そのものを見送っていた人材です。
コスト削減の話に見えて、実際には「採用できる会社になった」という話です。
取り組みの前後で、何がどう変わったか
上位の解説記事はここを「モデルケース」として書きます。私たちは実際に起きたことを書きます。
応募の「経路」が変わった
以前は、人材紹介会社からの紹介が採用の中心でした。現在は、自社サイトを見て応募してくる直接応募が中心です。
経路が変わったことの意味は、コストだけではありません。求職者がどんな状態で応募してくるかが変わります。
紹介会社経由の応募者は、エージェントから提案されて知った会社です。自社サイトからの応募者は、自分で調べ、読み込み、納得したうえで応募しています。面接の入り口の温度が、そもそも違います。
面接の中身が変わった
会社説明に費やす時間が減りました。サイトを読んだ前提で来る人が増えたからです。
面接が「基本情報を説明する場」から「相互に見極める場」に変わる。これは採用の質に直結します。限られた面接時間を、条件の確認ではなく相性の確認に使えるようになります。
「なぜうちを選んだか」への答えが変わった
採用ブランディングが効いているかどうかを判断する、簡単な方法があります。
面接で「なぜ当社を選んだのですか」と聞いたとき、返ってくる答えが条件以外の言葉になっているかです。
「家から近いので」「給与が良かったので」しか返ってこないなら、まだ条件で選ばれています。「サイトに書いてあった看護の考え方に共感した」「向いていない人の説明を読んで、自分は合うと思った」と返ってくるなら、ブランディングが機能しています。
はまリハでは、後者の答えが返ってくるようになりました。
採用ブランディングは「コンセプト」から始まる
採用ブランディングの中心にあるのは、ここです。
コンセプトはキャッチコピーではない
コンセプトと聞くと、印象的な一文を作ることだと受け取られがちです。そうではありません。
コンセプトとは、経営の姿勢そのものです。何を大事にし、何を優先し、何を選ばないのか。この判断基準が言葉になったものが、コンセプトです。
だから、外注して作ってもらうことはできません。私たちのような支援者が手伝えるのは、経営者の中にあるものを引き出して整理するところまでです。中身を作るのは経営者本人です。
抽象的な理念は「方針がない」と読まれる
「地域に貢献します」「利用者に寄り添います」。多くの会社が掲げている言葉です。
しかし求職者からすると、この種の言葉は判断材料になりません。それどころか、抽象的な理念しか書かれていない会社は「方針が定まっていないのではないか」と受け取られます。
たとえば「利用者の生活を最優先に考える」と書くだけでは足りません。訪問件数を追うのか、一件あたりの時間を確保するのか。看護師の判断をどこまで尊重するのか。ここまで具体化して、初めて姿勢が伝わります。
「向いていない人」を書けるかどうか
コンセプトが本物かどうかを見分ける方法があります。向いていない人を書けるかどうかです。
誰にとっても良い会社、という書き方は、誰にも刺さりません。「こういう働き方を求める人には合いません」と書けるということは、自社が何を選んだのかが定まっている証拠です。
書けば応募は減ります。ただし、残った応募の質は上がります。そして入社後のズレが減ります。
成功している中小企業に共通すること
支援の現場と、他社の事例を見てきて、共通点があると感じています。
経営者が採用を人事業務だと思っていない
うまくいっている会社の経営者は、採用を「人を埋める作業」だと考えていません。組織の未来を選ぶ行為として扱っています。
だから、言語化の工程に時間を使うことを惜しみません。ここを担当者任せにしている会社は、途中で止まります。経営者の考えが原材料なので、本人が出てこなければ作れないからです。
都合の悪いことを隠さない
強い会社ほど、弱点を書いています。
教育制度が整っていない、オンコールの負担が軽くない、まだ人数が少なく一人あたりの裁量が大きい。こうした事実を先に出しています。
隠して採用した人は、入社後にズレを感じて離れます。承知のうえで入った人は残ります。情報開示は、応募を減らして定着を増やす投資です。
一貫している
採用サイトに書いてあることと、SNSに流れている空気と、面接で経営者が話すことが揃っています。
どれかひとつが浮いていると、求職者は敏感に気づきます。ブランディングは作り込みの精度ではなく、言っていることと見えているものが合っているかで決まります。
採用ブランディングが効いているかを、どう測るか
ブランディングは成果が見えにくいと言われます。ただ、確認する方法はあります。私たちが見ているのは次の6つです。
1. 「なぜ当社を選んだか」への答え
先ほど書いたとおり、これが最も早く変化が出る指標です。条件以外の言葉が返ってくるようになれば、伝わり始めています。
2. 会社名で検索される回数
求人媒体で見つけた人は、次に社名を検索します。この検索数が増えているなら、認知から比較検討へ進んでいる人が増えている証拠です。
3. 応募者がどこまで読んできているか
面接で「サイトのどこを読みましたか」と聞いてみてください。募集要項だけの人と、経営者のメッセージまで読んでいる人では、その後の定着率が変わります。
4. 内定辞退の割合
選考の終盤で辞退が続くなら、途中まで伝わっていて最後で食い違っています。多くの場合、事前情報と面接での印象にズレがあります。
5. 入社半年後、1年後に残っているか
採用ブランディングの本当の成果はここに出ます。入口の数ではなく、残った人数で判断してください。
6. 既存社員から紹介が出るか
社員が知人を紹介し始めたら、かなり良い状態です。自社を人に説明できる言葉を、社員自身が持てている証拠だからです。
これらは、どれも高価なツールを使わずに確認できます。面接の場と、手元の記録で足ります。
社内に向けたブランディングも、同時に起きる
採用ブランディングは外向けの活動だと思われがちですが、実際には社内にも同じだけ作用します。
言語化の過程で、社員が自社を説明できるようになる
経営者の考えを言葉にする作業は、既存社員にとっても意味を持ちます。
多くの会社で、社員は自社の良さを感覚では理解していても、言葉にできません。「なんとなく働きやすい」で止まっています。ここが言語化されると、社員が自社を人に説明できるようになります。
説明できるようになった社員は、知人に声をかけられます。紹介が生まれるのはこの状態です。
外向けの言葉は、社内のチェックを通す
ひとつ注意点があります。採用サイトに書く内容は、公開前に必ず現場に読んでもらってください。
外向けに書いたことと社内の実態がズレていると、最初に気づくのは社員です。 そして、そのズレは静かに信頼を損ないます。「うちってこんな会社だったっけ」と社員が思う文章は、求職者にも見抜かれます。
逆に、社員が「これはうちのことだ」と感じる文章は、そのまま採用の武器になります。
採用の基準が、組織の基準になる
どんな人を採用するかを決めることは、どんな組織にするかを決めることと同じです。
件数をこなす人を採り続ければ効率重視の組織になり、一件ずつに時間をかける人を採り続ければ質を重んじる組織になります。採用基準は、数年かけて組織文化になります。
だから採用ブランディングは、人事の施策ではなく経営の意思決定です。
採用ブランディングでよくある3つの誤解
支援の入り口でよく聞く誤解を挙げます。
誤解1:デザインや制作物を整えることだと思っている
ロゴ、写真、サイトの見た目。これらは思想を伝える手段であって、思想そのものではありません。
中身が決まっていない状態で見た目から入ると、埋める言葉がなく、結局どこかで見た文章が並びます。器を先に作っても、入れるものがなければ意味がありません。
誤解2:大掛かりなプロジェクトだと思っている
全社を巻き込んだ長期プロジェクトを想像して、着手をためらう会社があります。
実際には、募集要項1ページの書き換えから始められます。はまリハでも、最初に手を入れたのはそこでした。ページを増やす工事も、デザインの刷新も伴いません。
誤解3:一度作れば終わりだと思っている
人数が増えれば体制が変わり、書いてある内容と実態がずれていきます。
ずれを放置すると、入社後のギャップに直結します。求職者は書いてあることを信じて入ってくるので、実態と違えば、それは約束違反として受け取られます。
立ち上げの手順
はまリハで踏んだ順番を、そのまま書きます。
手順1:経営者が問いに答える
先ほど挙げた問いに、経営者自身が答えます。ここを飛ばして先に進むと、あとで必ず戻ることになります。
具体的には、次のような問いです。
- 創業のとき、何に不満があってこの事業を始めたのか
- 同業他社と、どこで判断が分かれると思うか
- 売上と質がぶつかったとき、どちらを取ってきたか
- 現場にどこまで任せ、どこから経営が決めるのか
- 過去に採用して「合わなかった」人は、何が合わなかったのか
- 5年後、どんな会社になっていたいのか
最後から2つ目の問いが、特に効きます。合わなかった人の輪郭を描けると、求める人物像の解像度が一気に上がります。
所要時間は会社によりますが、一度で終わることはまずありません。書いては直し、を繰り返します。
手順2:求める人物像を絞る
「明るい人」「前向きな人」では絞れていません。どんな経験を持ち、いま何に不満を感じ、何を求めて動こうとしている人なのか。
ここまで絞り込めると、書くべき内容は自然に決まります。逆に言えば、宛先が定まらないうちは、何を書いても的が外れます。
手順3:思想を具体に落とす
理念を、日々の仕事の描写に変換します。1日の流れ、判断を任される範囲、評価のされ方、入社直後の3か月。
抽象と具体をセットで置くのがコツです。考え方を述べ、その考え方が現場でどう表れるかを続けて書きます。
手順4:外から見える場所すべてを揃える
採用サイト、募集要項、SNS、面接での説明。これらの内容を一致させます。
特に募集要項は最初に開かれるページです。求人媒体の条件表をそのまま転載していることが多いのですが、ここは自社の考えを伝えられる貴重な場所です。
手順5:面接で答え合わせをする
公開して終わりではありません。面接で「なぜ当社を選んだか」を聞き、返ってくる言葉を記録します。
条件以外の言葉が返ってくるようになれば、機能しています。返ってこないなら、まだ伝わっていません。この確認だけは、外注できません。
つまずかないための注意点
見た目から入ると失敗する
他社の洗練された採用サイトを見て、同じようなものを作りたくなります。気持ちはわかりますが、順番が逆です。
中身が決まっていない状態で器から作ると、埋める言葉がありません。 結果として、どこかで見たような一般的な文章が並びます。それでは差がつきません。
応募数の増減で判断しない
情報を具体的に出すと、応募数は一時的に減ることがあります。ここで慌てて元の曖昧な表現に戻す会社があります。
追うべきは応募数ではありません。採用に至り、定着した人数です。応募が半分になっても、採用が増え、辞める人が減っているなら成功しています。
お金でごまかさない
応募が集まらないとき、入職お祝い金のような金銭的インセンティブに手が伸びます。
一時的には効きます。ただ、応募の動機が金銭になった時点で、意思決定の軸も金銭になります。条件で集めれば、条件で離れる。この構造からは抜け出せません。
金銭を使わずにできることはあります。公式サイト経由の応募は面接確約にする、選考スピードを優遇する、代表と直接話す機会を設ける。わざわざ調べて応募してくれた人を優先するという姿勢の表明で十分です。
一度作って終わりにしない
事業の状況は変わります。人数が増えれば体制も変わり、書いてある内容と実態がずれていきます。
ずれた状態を放置すると、入社後のギャップに直結します。最新の実態に合っているかを定期的に見直してください。
よくある質問
採用活動におけるブランディングとは何ですか
自社が「どんな会社として認識されるか」を設計し、一貫して示すことです。
ロゴやキャッチコピーの制作ではありません。何を大事にし、どんな人と働きたいのかを言語化し、求職者が触れるすべての場所で同じことを伝える。この積み重ねが採用ブランディングです。
中小企業のブランディングとは何ですか
大企業のような広告投資による知名度づくりとは別物です。中小企業のブランディングは、経営者の考えをそのまま示せるという強みを活かす方向で組み立てます。
規模が小さいほど、意思決定者の顔が見えます。これは弱点ではなく、他社が真似できない資産です。
中小企業に採用ブランディングは向いていますか
向いています。条件で戦う限り採用は難しいままですが、考え方の明確さで戦うなら規模は関係ありません。
一方で、考え方の明確さと情報の具体性で戦うなら、会社の規模は関係ありません。 ここに本気で取り組んでいる中小企業はまだ少なく、丁寧にやるだけで差がつきます。
ブランディングがうまい会社の共通点は何ですか
言っていることと、見えているものが一致していることです。
サイトの理念、SNSの投稿、面接での説明、実際の職場。この4つが揃っている会社は、規模に関係なく強いブランドを持っています。逆に、どれかひとつでも浮いていると、求職者は違和感を覚えます。
費用はどれくらいかかりますか
採用サイトの制作を伴う場合、規模や内容によって幅があります。ただ、比較すべきは制作費の絶対額ではなく、いま採用にいくら払っているかです。
はまリハの場合、着手前の紹介料は年間1,000万円以上でした。この金額と比べたとき、判断の基準は変わります。
採用広報とは何が違いますか
採用広報は、情報を届ける活動を指します。記事を書く、SNSで発信する、イベントに出る。手段の集合です。
採用ブランディングは、その活動を通じて何者として認識されるかを決める設計です。広報は手段、ブランディングは方針。方針がないまま広報だけ動かすと、発信の量は増えるのに印象が定まらない状態になります。
予算がない場合、何から始めればいいですか
募集要項の書き換えです。費用はかかりません。
いま媒体に載せている条件表を開いて、条件以外の情報をどれだけ足せるかを考えてみてください。1日の流れ、評価の基準、向き不向き。これだけで、比較検討の材料は大きく変わります。
社員が協力してくれない場合はどうすればいいですか
いきなりインタビューを依頼すると身構えられます。まず、経営者が言語化したものを読んでもらってください。
「これはうちのことだ」と感じてもらえるかどうかが最初の関門です。ここで違和感が出るなら、外向けの言葉が実態とずれています。社員の反応は、公開前の精度チェックとして機能します。
どれくらいで成果が出ますか
自社で応募を集める状態は、整えた翌週に生まれるものではありません。数か月単位で見てください。
いま人材紹介会社を使っているなら、すぐにやめるのではなく、並走させながら比率を移していくのが現実的です。急に切り替えると現場が回らなくなり、結局戻ることになります。
まとめ:採用ブランディングは経営の言語化
最後に、要点を振り返っておきましょう。
- 採用ブランディングは、知名度づくりではなく「何者として認識されるか」の設計
- 条件で集めた人は条件で離れる。だから条件以外の理由が要る
- 経営者の考えをそのまま出せる中小企業のほうが、実は向いている
- コンセプトはキャッチコピーではなく、経営の姿勢そのもの
- 曖昧な理念は「方針が定まっていない」と受け取られる。具体があって初めて伝わる
- 追うべきは応募数ではなく、採用に至り定着した人数
はまリハで起きたことは、特別な手法の結果ではありません。経営者が自分の考えを言葉にし、それを求職者が判断できる形にして、すべての接点で揃えた。それだけです。
どんな人を採用するかは、そのまま組織の文化になります。件数を追う人が集まれば効率重視の組織になり、一件ずつに向き合う人が集まれば質を重んじる組織になります。採用は人数を埋める作業ではなく、会社がどうなっていくかを選ぶ行為です。
最後に、簡単な実験をひとつやってみてください。
自社の採用ページから、条件に関する記述をすべて消してみてください。 給与も、休日も、勤務時間も外す。
そのあとに何が残るか。残ったものが、いまの御社のブランドです。何も残らないなら、そこが出発点になります。

